結論から言いますと、Web広告代理店を利用したほうが良いと考えています。
ただし、その利用にはメリットと同様にデメリットも存在します。
この記事では、メリットとデメリットに触れつつ、Web広告代理店を選ぶ際のポイントについてわかりやすく説明していきます。
本記事は、こんな疑問を解決に導きます
- Web集客はインハウスがいいのか?Web広告代理店にお願いしたほうがいいのか?
- Web広告代理店の選び方を教えて欲しい
本記事の執筆者
僕は2001年からおよそ4年間、Web制作会社でWebデザイナーやWebディレクターとして勤務していました。
その後、2005年の夏にメディア運営会社に転職し、約15年間「広告主」としての仕事をしてきました。
この15年の経験を通じて得た、適切なWeb広告代理店を選ぶ上でのポイントを、率直に共有したいと思います。
ちなみに、お願いするWeb広告代理店が決まった際には、僕の場合、長く取引きをしております。
もし現在、広告代理店を選ぶ際に迷っているのであれば、この記事があなたの判断材料の1つとなるでしょう。
なお、この記事はブロガーを対象としたものではありません。
しかし、Webマーケティングや広告を出稿する立場、Webマーケティングのキャリアに興味がある方々にとっては、参考になる内容となっています。
ブロガー関係なく、最後まで読んでもらえるとうれしいです。
目 次
Web広告代理店を利用するメリットとデメリット
僕は副業でブログやアフィリエイトサイトを運営しています。
しかし、本業では2005年からメディアの運営に従事しています。
2014年に転職しましたが、現在の会社でも引き続きメディア運営に携わっており、約15年にわたりWebマーケティングの経験を積んできました。
主な仕事内容は、自サイトに集客することであり、サイトの改善やデータの分析も行っています。
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「サイト改善」で差をつける!成功の秘訣を解説
広告主として多くの広告代理店と取引の経験がありますので、そのノウハウをお伝えしたいと思います。
Web広告代理店を利用する際には、メリットとデメリットがあります。
僕はインハウスよりもWeb広告代理店に集客を依頼する方が、多くのメリットがあると考えています。
インハウスとは
Web広告代理店を利用するメリット
「Web広告代理店の利用にはメリットがあります」と述べてきましたが、詳細に説明すると、読んでいるあなたが飽きてしまうかもしれません。
ここでは最も重要なポイントに焦点を当ててお伝えします。
メリットは「人」と「時間」です。
例えば、Web広告代理店に頼まずに、自社でリスティング広告を展開する場合を考えてみましょう。
広告開始前
- YahooとGoogleのアカウントの開設(開設方法が分からないので、まずはそこから調べる)
- 出稿するためのキーワード案の抽出(キーワードを抽出するノウハウがないので、思い付いたら追加していく)
- アカウント構成を考える(構成を間違えると広告のコストが大きく変わってきてしまう)
- 広告の説明文を考える(何がユーザーに刺さる言葉なのかノウハウがないので、クリックされにくい説明文になってしまう可能性がある)
広告開始後
- 日々、管理画面を見て、予算配分の調整を行う
- A/Bテストを日々行い、良い広告を勝ち残りにしていく
- 会社に報告するためのレポートを作る
A/Bテストとは
リスティング広告の業務は多岐にわたり、専任のスタッフを雇う必要があるほどのノウハウが必要です。
しかし、スタッフを雇うことは容易ではありません。
会社の人件費が増えてしまいます。
その点を考慮すると、Web広告代理店を利用する方がコスト効率が良いのです。
そしてもう1つのメリットは「時間」です。
リスティング広告の運用と別の業務を同時にこなすと、どちらの成果も中途半端になってしまう可能性があります。
そのような事態になるのを防ぐためにも、Web広告のノウハウを持つ代理店に依頼することで、本来の仕事に集中し、高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
理想的な体制は、1つのWeb広告代理店に絞ることです。
ただし、代理店にも得意・不得手があります。
そのため、選ぶ際には注意深く判断することが重要です。
Web広告代理店を利用するデメリット
デメリットの中で最も顕著なものは、「社内でノウハウの蓄積ができない」という点です。
通常、Web広告代理店から提供される報告は、基本的に「数値結果」だけです。
Web広告代理店は、優れた成果を達成するために、さまざまなA/Bテストを実施し、緻密な工夫を凝らしています。
したがって、Web広告代理店は成功や失敗に関する知見を積み重ねることができます。
一方で、自社にはそのような知識の蓄積が貯まりません。
もちろん、自らがWeb広告代理店にノウハウを教えてもらうことはできますが、自社でそのような困難を経験する必要がなくなる分、完璧な形でノウハウを蓄積することは難しいのです。
Web広告代理店の選び方10選
Web広告代理店を選ぶ際の大切なポイントは、「柔軟な対応が可能な代理店を選ぶ」です。
「柔軟な対応って、具体的にどういうことなの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
その答えは後述します。
Web広告代理店を選ぶ際のポイントは以下の10個です。
- 契約する前に、必要な要望や希望事項をしっかり伝える
- 親身になって対応してくれるか
- イレギュラーなことも対応してくれるか
- 初めは少額の予算でも対応してくれるかどうかを確かめる
- 運用者と打ち合わせ/コミュニケーションがとれるか
- 運用体制の確認
- 広告アカウントに関する情報を適切に共有してもらう
- 定期的に進捗レポートを受け取れる
- 常に新しい提案を出してもらう
- 運用実績や成功事例があるか
それぞれ詳しく解説していきます。
契約する前に、必要な要望や希望事項をしっかり伝える
Web広告代理店と契約する際には、必ず打ち合わせが行われます。
この打ち合わせの中で、目標とするCPAやコンバージョン数、予算など、希望する条件をしっかりと伝えましょう。
これらの条件に納得してくれる代理店と契約を進めなければいけません。
契約後になってから要望を出すと、広告代理店のモチベーションが減退し、対応が不十分になるおそれがあります。
代理店の担当者は複数の顧客を抱えていることが多いので、他の顧客よりも優先順位が低くされてしまうかもしれません。
良好な関係を築くためにも、契約前に全ての要望を伝えることが大切です。
もし要望を伝えた後に相手から断られた場合は、お互いの縁がなかったと捉え、新たな代理店を見つけましょう。
Web広告代理店と呼ばれる会社は数多く存在していますので、前向きに切り替えて探してみてください。
親身になって対応してくれるか
これは非常に重要なポイントです。
Web広告代理店は、広告主を基本的に「クライアント」として取り扱います。
そのため、どうしても一定の距離感が生まれてしまいます。
もしできるのであれば、Web広告代理店の担当者に自社のサービスを一通り体験してもらうことをおすすめします。
担当者が実際に体験することで、提案内容の質が向上することがあります。
僕たちはサイトを成長させるために、サイト改善が必要になります。
そのような部分まで提案してもらえると、僕たちにとって良い仲間となります。
つまり、僕たちと同じ立場に立って親身に対応してくれるかどうかが、代理店を選定する際の基準のひとつとなるでしょう。
イレギュラーなことも対応してくれるか
Web広告代理店は、業務を効率的に進めるために定められた手順があります。
そのため、通常の業務とは異なる依頼をする場合、断られてしまったり、手数料が増えてしまったり、不快な対応を受けることがあります(苦笑)。
ですが、それでも快く対応してくれるかどうかで、今後長く取引ができるかどうかが見えたりします。
僕の場合、過去に2つのイレギュラーな業務を依頼したことがあります。
1つは社内向けの勉強会で、講師をお願いしました。
社内でWeb広告を活用した集客の重要性が理解されていなかったからです。
この勉強会によって、Web広告の重要性が社内全体に浸透し、経営陣も認識し、稟議の進行が円滑になりました。
2つ目は、顧客生涯価値(LTV)を考慮した広告運営です。
LTVとは、ユーザー1人がサイトで製品やサービスを購入し、合計でどれだけの利益をもたらすかを示すものです。
Web広告代理店は、コンバージョンタグを埋め込むことができる、会員登録完了や資料請求完了、商品購入完了など、完了画面までの情報しか把握できません。
LTVに関しては、広告主しか把握できません。
-
LTVを向上させるための7つの手法【成功事例付き】
このため、代理店は広告主からLTVのデータを提供してもらい、広告運営を行うことになるのですが、代理店からすると非常に煩雑な仕事になります。
一部の代理店では、広告を最適に配信させるためのプログラムを使用してコンバージョン数を増やし、広告配信を安定配信できるように調整することもあります。
しかし、LTVを考慮する際には、そのようなプログラムでは最適化が難しく、手動で運営しなければなりません。
そのため、特別な運営が求められ、代理店側からすると非常に嫌がります。
そこで、Web広告代理店を選ぶ際に、LTVに対応できるかどうかは、僕の基準の1つにしています。
このようにイレギュラーなことでも、クライアントの満足度を上げるために動いてくれるかどうかを判断材料にしているのです。
初めは少額の予算でも対応してくれるかどうかを確かめる
僕が勤めている会社は、中小企業と呼ばれる小さな会社です。
そのため、Web広告への予算獲得は容易なことではありません。
特に、利用したことがない広告に初めから100万円のような大きな予算を投じることはないに等しいです。
もし100万円を費やしても効果が得られない場合、Web広告の予算は削減されるかもしれません。
僕が経営者だったら、このような状況に直面した際には同じような対応を選ぶでしょう。
そこで僕が実践しているのは、最初の1ヶ月に約10万円の予算でトライアルするという方法です。
いわゆる「スモールスタート」と呼ばれています。
10万円分だけ広告出稿した場合、Web広告代理店は、広告出稿費の20%が手数料として得られれますが、利益は約2万円程度です。
その2万円という金額で、代理店は広告アカウントの作成や広告の最適化、効果の分析を含む作業がしなければなりません。
もしあなたがWeb広告代理店の担当者だった場合、たった2万円の報酬で、これらの仕事を引き受けるのは魅力的ではないでしょう。
僕のような慎重な性格の人間は、少額の予算で効果を確認し、良好な結果が見込める場合に予算を増やす道を選びます。
最初から多額の予算を出さずに、対応してもらえるWeb広告代理店と取引することが望ましいのです。
ただし、予算が極端に少ない場合、広告の真の価値を引き出せないこともあるため、そのような場合にはより多くの予算を用いて効果を検証することが大切です。
運用者と打ち合わせ/コミュニケーションがとれるか
契約前の打ち合わせを担当するのは、通常「営業担当」と呼ばれる方です。
彼らは自社の強みを巧みに説明し、契約成立までを担当します。
しかし、言葉にだまされて契約後に担当が変更され、最初とは違う担当者になることがしばしばあります。
その結果、「最初とは違う」「自分に合わない」といったギャップが生まれることがあります。
このため、契約前に「もし弊社と契約することになった際、具体的にどの方が担当となるかを教えていただきたい。そして、その担当者とお話ししたい」と伝え、現場担当者とコミュニケーションをとることをおすすめします。
ただし、そのコミュニケーションはメールやチャットではなく、対面で話すか、オンラインで打ち合わせを行って担当者とコミュニケーションをとることが重要です。
そして、「仕事を進めていく上で問題がない」と判断できる場合には、契約手続きを進めるのが良いでしょう。
運用体制の確認
契約を結ぶ前に、運用体制も必ず確認しておくことが大切です。
人間は病気やケガで休むことがあります。
Web広告代理店の運用体制が特定の担当者に依存している場合、その担当者が休むと対応できない可能性があります。
そういう時に限って、何かトラブルが発生するものです。
代理店の運用体制が1人の担当者に頼っていないかを必ず確認しましょう。
万一の場合に備えて、代替の担当者や体制が整っていることを確認することが重要です。
広告アカウントに関する情報を適切に共有してもらう
Web広告代理店が避けがちな事柄の一つが、広告アカウントの公開です。
代理店は、自社のビジネス手法を他社に知られるのを避けるため、広告アカウントの開示をしない場合もありますが、できる限り情報を共有してもらいましょう。
閲覧権限のみを提供でも問題ありません。
提供されたアカウント情報を見ても、初めは理解が難しいこともあります。
しかし、Web広告代理店の担当者に質問するなど、理解を深めるために積極的に学習しましょう。
これは、Web広告代理店を利用する際のデメリットである「社内でのノウハウ蓄積の不足」という課題を解決する一助となります。
定期的に進捗レポートを受け取れる
ここで言及している「レポート」とは、単なる数字が並んだ報告書ではなく、実行したプランの詳細を箇条書きにまとめたものを指します。
通常、広告主にとっては数値の結果が重要ですが、時には期待と現実が乖離することもあります。
そのため、「どのようなプランを試し、どのようにして数値目標を達成するのか」という不安が生まれることがあり、この不満が積み重なってしまうと、最終的には契約解除になってしまうことがあります。
こうしたケースでは、双方に不快な思いが生じる可能性があります。
広告代理店側も「こんなに努力して数値目標に向かっているのに」と感じてしまうでしょう。
そこで、方針やアプローチが一致しているかを確認するために、週ごとにレポートを出してもらうことをおすすめします。
広告代理店からは、「月ごとの報告では駄目ですか?」という反論が来るかもしれませんが、月単位の報告では、誤った方向に進んでいる場合、1ヶ月分の予算が無駄になる可能性があるため、週ごとの報告提出に協力をお願いをしましょう。
数字の結果が好調な場合、週ごとのレポートは不要です。
このようなケースでは、広告代理店が新しい取り組みを行っていないことが多いため、報告の受け取りは必要ありません。
必要ない旨を必ず伝えてあげてください。
契約を締結する前に、週ごとの報告提出が盛り込んでもらえるかを交渉することをおすすめします。
常に新しい提案を出してもらう
取引を始める前には予測できませんが、長期間にわたって取引を継続していくと、成功パターンが形成され、新たな試みが減少します。
その結果、Web広告代理店に不必要な手数料を支払い続けることになりかねません。
Web広告代理店が最善の役割を果たすためには、常に新しい施策に挑戦し、できるだけCPAを低減させ、新たな広告戦略を提案してもらうことが大切です。
こういった方法で、お互いに常に緊張感を持ちつつ建設的な関係を築くことをおすすめします。
運用実績や成功事例があるか
Web広告代理店を選ぶとき、僕たちはよく悩むものです。
なぜなら、クライアントの期待に応えようとするあまり、まだ経験のない広告プランを提案する代理店がいるからです。
もしもそうなった場合、僕たち広告主は成功する方法を見つけるまで、多くの時間と労力を費やさざるを得ません。
だから、広告を任せる前に、その代理店の運用実績や過去に成功した事例があるかをちゃんと確認することが大切です。
Web広告代理店に対してやってはいけないこと
Web広告代理店を選ぶ際には、様々なポイントがありますが、今回は特に避けるべきポイントを2つご紹介します。
以下のポイントには注意してください。
代理店手数料の値引き交渉するな
Web広告代理店に頼むのではなく、あなたにお願い事があります。
上司から「広告予算をできるだけ削減してみてほしい」という指示があった場合、しばしば「代理店手数料を交渉してみる」というアイデアが浮かぶことがあります。
毎月の予算が数千万円の規模なら、手数料の交渉が成立するかもしれませんが、数百万円程度の規模での交渉はおすすめしません。
その理由は、手数料を下げることで、仕事の優先順位が低くなる可能性があるからです。
Web広告代理店の担当者は、あなたの案件以外にも複数の案件を抱えています。
手数料が減ると、その担当者は自然と業務の優先順位を下げざるを得なくなります。
担当者は「優先順位は変わりません」と言ってくれるかもしれませんが、実際には変化することがあります。その結果、本来なら対応できたはずの業務に遅れが生じたり、イレギュラーな業務を断られたりすることがあります。
このような状況になると、あなたや会社にとってマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
そのため、値引き交渉はせず、値引き以外の方法を検討しましょう。
Web広告代理店に丸投げにするな
Web広告代理店にすべてをお任せしたい気持ちは理解できますが、そのやり方では限界があります。
Web広告代理店は広告のプロですが、あなたの会社で運営するメディアやサービスについて完璧に理解しているわけではありません。
ここで、あなたの知見が重要になります。
ウェブサイトを利用するユーザーの特徴や属性、過去の数値レポート、以前のウェブ広告の成果など、すべての情報を共有しましょう。
情報を共有することで、Web広告代理店も迅速な最適化を行えるようになります。
そして、Web広告について学び、Web広告代理店のプロと同じ知識を身につけることも大切です。
これにより、早期に広告配信の成功パターンを見つけられます。
広告の最適化は、広告費用の効果を最大化することを意味します。
新しい広告が承認されたら、新しいチャレンジをしてみましょう。
まとめ【失敗しないWeb広告代理店の選び方!マーケティングのプロが教えるポイントとは?】
STEP1「広告の最適化」の形ができる
STEP2あなたのWebサイトの認知度やメディアパワーがつく(=会社の売上が増える)
STEP3あなたは会社に新たな予算の稟議が通しやすくなる
STEP4Web広告代理店に支払うことができる予算が増える
STEP5Web広告代理店から有益な情報を提案してもらいやすくなる
STEP6新しい広告の配信を行う
STEP7広告の最適化ができる
STEP8あなたのWeb広告の知識量が増える
STEP9新たな広告の配信のために、会社に稟議を通す(STEP4に戻る)
というような、あなたが会社への貢献度が高まる循環ができあがります。
しかし、Web広告代理店を決め方を間違えると、この循環ができなくないので、Web広告代理店の選び方9選を、ぜひ実践してみてください。