そして、そのLTVを向上させるには、どんな方法があるのですか?
LTVを向上させるには様々な施策がありますが、本記事では事例を交えて7つの手法を紹介します。
そもそもLTVがよく分からないという方もいると思いますので、基礎も押さえて説明していきます。
本記事は、こんな疑問を解決に導きます
- そもそもLTVとは何か
- LTVはどうやって求めることができるのか
- LTVを重視した広告運用について知りたい
- LTVから最適なCPAについて知りたい
- LTVを向上させるため成功事例が知りたい
本記事の執筆者
LTVはWebマーケティングにおいて、見ないといけない重要な数値です。
LTVを取り入れることで、もしかしたら、ビジネスの考え方が大きく変わるかもしれません。
少なくとも僕は大きく考え方が変わりました。厳密に言うと変わってしまいました。
そのぐらい重要な数値ですので、本記事を最後まで読んでみてください。
目 次
LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは
LTV(Life Time Valueの略)とは、日本語に訳すと「顧客生涯価値」という意味です。
「顧客生涯価値」と言われてもピンとこないと思いますので、別の言い方にしますと、ある一人のユーザーが、あなたのWebサイトで商品やサービスを購入したとします。
そのユーザーは、その商品が気に入って、定期的に購入し続けてくれたとします。
そのユーザーがもたらしてくれた利益の合計を示したのがLTVなのです。
なぜ、今「LTV」が注目されているのか。
1人の新しい顧客(『顧客』だと分かりにくいと思いますので、以下、あなたのビジネスの「ユーザー(例:クライアント・会員・購入者・購読者など)」に脳内変換をしてください)を獲得するコストは、既存の顧客を維持するためのコストと比べて、5倍のコストがかかると言われています(1:5の法則)。
新しい顧客を獲得するには、存在を知ってもらうために広告を出して、新規のテレアポをして、アポがとれたら提案営業し、お客さんからの質問が来たらその対応をするなど、多額のお金が発生します。
それよりも、サービスを一度でも利用したことがある既存顧客に2回目・3回目の利用を勧めたほうが、コストをおさえられるのです。
もちろん、LTVの考え方を取り入れるのが難しい業界もあります。
例えば、住宅業界。
新築を1軒建てたら基本的にはそれで取引が終了します。
中には2軒目、3軒目と家を建てる方もいますが、極めて少ないと思います。またリノベーションという考えもありますが、家を建ててから、10年、20年後の話になりますので、それよりも新しいお客さんを見つけたほうが、会社にとって収益になるので、LTVの考え方を取り入れることは難しいのです。
というように、LTVを取り入れるのが難しい業界もありますが、 LTVの考え方を取り入れることができるなら、積極的に取り入れましょう。
LTVの計算方法
LTVを求めるための計算式は3つの式があります。
本来であれば、1顧客ごとにLTVの数値をとっていくことが理想ですが、現実は難しいと思いますので、以下の平均のLTVを求めるための計算式を書いておきます。
- LTV = 顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数
- LTV = 全顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
- LTV = (売上高 - 売上原価) ÷ 購入者数
あなたのビジネスに合うLTVの式を採用してください。
LTVを重視した広告運用とは
1:5の法則から、既存顧客を維持するためのコストよりも、新規の顧客を獲得するためのコストのほうが5倍かかると伝えましたが、とは言えども、顧客はあなたが提供しているサービス・商品よりも良いもの、価格が安いものがあれば、そちらに行ってしまうのは常です。
そうすると、既存顧客だけでは収益を作るのは難しくなります。そうなった場合には、新しい顧客を獲得する必要があるのです。
新規の顧客を獲得する方法には、様々な手法がありますが、今回は僕が得意とするWeb広告について話をしていきたいと思います。
Web広告の理想的な広告出稿方法は、「失敗しないWeb広告代理店の選び方!マーケティングのプロが教えるポイントとは?」を参考にしてください。
僕からあなたに提案する広告出稿方法は「LTVを重視した広告運用にしましょう」です。
昔、僕は某サイトで会員獲得をミッションとする仕事をしていました。
CPA重視だったので、とにかく1円でもCPAを下げるために…
CPAを下げるために努力したこと
- 1クリックあたりの広告費を抑える
- CPAが安い広告を探す
- コンバージョン率を上げるために、ランディングページの改善
ということを日々奮闘していました。
そして、会社には「先月と比べて〇〇〇人の会員獲得ができて、CPAが△△円安くすることに成功しました」というような報告をしていたのです。
そのCPA重視のノウハウを持って、別の会社に転職しました。
新しい会社でも会員獲得のミッションであったので、同じようにCPAを重視した広告運用を展開したのです。
ところが、当時の上司から、
と言われたのです。
僕が関わったWebサイトのサービス内容を述べることはできませんが、ユーザーは会員登録してから、無料でサービスを楽しむことができる一方で、マネタイズはそのサイトに掲載しているクライアント(掲載主)からお金をいただくというビジネスモデルでした。
クライアントからいただくお金は掲載料ではなく、成果報酬型の契約であったので、ユーザーがサービスを利用しないと、お金をいただけなかったのです。
上司から言われた言葉に、反論する言葉は一つもありませんでした。
そこから僕がまず行ったことは、その月に会員獲得したユーザーが、その月以降いくらのお金を生み出してくれるのかというのを追いかけるようにしました。
こんなレポートになります。
僕みたいな広告運用を担当している方であれば、アフィリエイト広告やリスティング広告やSNS広告など、多種多様な広告を試してみて、良い結果が出る広告を探すかと思います。
僕も色々な広告を試したので、広告毎にこの表を作ったのです。
重要ポイント
表を作った結果、広告毎に面白い結果が出てきたのです。
A広告はCPAは高いが、LTVが高い。
B広告はCPAが安いが、LTVが低い。
C広告はCPAは安くて、LTVが高い。最高!!
D広告は最初はよくサイトを利用してくれるが、1年後の残存率が0%
みたいな感じで。そうすると、どの広告に予算を集中すべきかが見えてくるのです。
今回のサンプルで言うと、CPAが最も安いB広告に予算を集中すべき…いえ、違います。C広告に予算を集中すべきです。
というように、CPA重視で運用してしまうと、サイトを利用しない(購入しない/サービスを利用しない)ユーザーを獲得しているかもしれないのです。
ユーザーが生み出してくれた粗利(売上高から売上原価を引いた金額)を重視した、広告運用に切り替えなければいけないのです。
LTVから上限CPAの値を導き出す方法
LTVから上限CPAの導き出し方は、
上限CPA = LTV × 粗利率
という式から求めることができます。
例えば、青森県産の果汁100%のリンゴジュースを販売しているECサイトがあるとします。
【お客さん】
A子さん → 平均購入単価:3,000円 / 購入回数:12回
B美さん → 平均購入単価:1,000円 / 購入回数:6回
C男さん → 平均購入単価:10,000円 / 購入回数:1回
D助さん → 平均購入単価:1,000円 / 購入回数:1回
LTV =顧客の平均購入単価 × 平均購入回数の式に当てはめますと
LTV =((3,000円 + 1,000円 + 10,000円 + 1,000円)÷ 4) ×((12回 + 6回 + 1回 + 1回)÷4)
LTV = 3,750円 × 5回
LTV = 18,750円
LTVは18,750円であることが分かりました。
このリンゴジュースの粗利率は、仮に50%とした場合
LTV × 粗利率 = 上限CPA
18,750円 × 50% = 9,375円
上限CPAは9,375円であることが分かりました。
9,375円以内のCPAで新規顧客を獲得できているのであれば、問題ありませんが、超える金額であれば、粗利を削ってしまい、18,750円よりも高いCPAであれば、赤字になっているかもしれません。
ただ、LTVは広告の種類(例:アフィリエイト広告なのか、リスティング広告なのか、Youtube広告なのか)によって異なる場合があります。
そうなると、各広告毎に上限CPAを決めた上で、広告配信をしましょう。
それでも、上限CPAを超えてしまう広告があれば、その広告は止めるという判断も必要です。
LTVを向上させるための7つの施策とその事例
LTVを向上させるための基本的な考え方は、以下の5つあります。
LTVを向上させるための考え方
ですが、僕の経験上から、以下の2つもLTVを向上に間接的に寄与しているので、挙げておきます。
LTVに間接的に寄与
分かりやすくECサイトを例にして、7つの施策について説明していきます。
平均購入単価を上げる
1回の買い物で購入単価を上げることです。
この施策はAmazonが徹底的に行っているので、非常に参考になります。
- よく一緒に購入されている商品(まとめ買い)
- この商品に関連する商品(Aという商品が違うなら、Bの商品はどうですか?)
- この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています(ついで買い)
いわゆる「レコメンドエンジン」と呼ばれる、プログラムを使っています。
1商品でも多く購入してもらうことで、LTV向上に寄与するのです。
購入頻度を増やす
2~3ヶ月に一度しか商品を購入しない顧客を、1ヶ月に1度買い物してもらうように購入頻度を上げることです。
頻度を上げるためには、まずはWebサイトに来てもらう必要があります。
購入頻度を増やすための手法
- メルマガを配信する
- LINE公式アカウントからメッセージを送る
- TwitterやFacebookに情報を投稿する
- (有料)Facebookのカスタムオーディエンスに広告出稿する
- クーポンを発行する
- 月に1回セールを行う
LINE公式アカウント(旧:LINE@)は、顧客に「友だちに追加」をしてもらう必要がありますが、登録した顧客がメッセージを開封される率は、メルマガよりも圧倒的に高いです。
また、あなたのWebサイトにLINEでログインができる仕組みを導入し、LINEログインでログインして、LINE公式アカウントに友だち追加すると、あなたのWebサービスに登録されたユーザー(例:会員ID)とLINE公式アカウントに友だち追加したユーザーがひもづけることができます。
そうすると、顧客の購入履歴に合った商品をオススメすることができるメッセージを配信できるようになります。
LINEログインは、FacebookやTwitterのソーシャルログインよりも利用率は高いです。
僕が本業で関わっているサービスに、最近LINEログインを導入しましたが、他にもFacebookやTwitterが以前から実装されてあったので、会員が利用するソーシャルログインの内訳を出したら、圧倒的にLINEログインが多く、もっと早く導入すれば良かったと反省しています。
LINEログインは、会員登録率が上がることにも寄与してくれますので、導入することをオススメします。
Facebookのカスタムオーディエンスを利用した手法もあります(Facebookのカスタムオーディエンスとは、Facebook広告の1つです)。
あなたのWebサイトに登録している顧客のメールアドレスとFacebookに登録しているメールアドレスが一致した顧客だけに配信できる広告です。
あからさまに「〇〇〇サイトに登録して、半年利用していないあなたに…」みたいな訴求をすると、この広告を見た顧客は、なぜ「Facebookが私が登録しているWebサイトを知っているの?」と思い、それと同時にあなたのWebサイトに対しても不信感を持たれてしまうので、あからさまな表現は使わず、広告に近い「新商品の紹介」程度の広告の打ち出し方がいいかと思います。
このように、あなたのWebサイトに来てもらう頻度を上げて、購入頻度を上げることでLTVの数値が上がるのです。
継続利用の期間を延ばす
あなたが提供している商品は、生活する上で無くては困るという商品であれば、何もしなくても自ら商品を買いに来てくれます。
ですが、同じような商品だが、
- 他社のほうが価格が安い
- 同じ価格だが、あなたが提供している商品よりも付加価値がある
となれば、顧客はそちらに流れてしまいます。
そのような顧客離れを防ぐためにも、あなたの商品を常にクオリティを上げていき、他社よりも価値を高め続ける必要があるのです。
Webの世界は先行者が有利と思われるが、実はそうとも限らないです。
二番手は先行者の成功している部分をマネて、そこにオリジナルの付加価値を付けることで、先行者の失敗部分はマネしない分だけ、簡単に先行者に追いつくことができます。
先行者は1位の座に甘んじてしまい、二番手の存在に気付かず、いつの間にか抜かされてしまうことがあるのです。
そんなことが起こらないためにも、先行者は二番手が現れた時点で、さらに引き離すために、クオリティを磨くことにさらに行う必要があるのです。
このようにすることで、顧客はあなたの商品を利用し続ける期間が延びるので、LTVの値も上がるのです。
新規顧客の獲得費用を下げる/既存顧客の維持費用を下げる
当たり前ですが、コストを下げればLTVは向上します。
新規顧客の獲得費用を下げるには広告のCPAを下げる
新規顧客の獲得率(CVR/コンバージョン率)を上げる
施策例1:広告から入ってくるページのサイト改善をする
施策例2:コンバージョンしたらインセンティブ(おまけ)を配布する
既存顧客の維持費用を下げるには、前述にも書きましたが
ことが大事です。
この3つの数値を改善することで、既存顧客の維持費用が下がり、LTVの向上につながります。
顧客とのコミュニケーションを増やす
顧客とのコミュニケーションを密にすることで、あなたの商品やサービスへの愛情や、あなたのビジネスへの信頼度が上がります。
メールやSNSのDMで済ませるのは、人間味を感じないと言いますか、距離感を感じてしまいます。
- あえて手書きの手紙を送る
- オフ会を実施する
- 顧客の生の声を聞くユーザーインタビューを実施する
などして、顧客とのコミュニケーションを深める機会を増やし、それをTwitterやFacebookやインスタでも発信することで、参加できていなかった顧客も、あなたが手掛けているサービスの愛情を感じてくれるでしょう。
顧客へのコミュニケーションを増やすことで生まれる効果は、数値には表れにくいですが、LTV向上に貢献すると思います。
(どうしても、数値化したい場合には、NPS(ネットプロモータースコア)という手法があります。)
顧客サポートの強化
顧客サポート、いわゆる「ユーザーサポート」や「カスタマーサポート」と呼ばれている、顧客からの質問やクレームに対する窓口業務。
質問やクレームが来た時は、顧客が不安や不満がある時です。
それに対しての返信や解決方法の提示が来ないと、顧客はその気持ちが増幅し、最悪の場合には「あなたの商品はもう買わない」という状況に陥ってしまいます。
そのような状況を回避するためにも、担当者を決めて、スピーディに解決に導く必要があります。
スピーディに対応してくれると逆に信頼感が増すことがあり、いつの間にかリピーターを超えたロイヤルカスタマーになっている時があります。
これもまたLTVの向上に繋がる可能性がありますので、もし顧客サポートがきちんと整っていない状況でしたら、各部署でバラバラになっている商品やサービスに関するノウハウを担当者に集約して、対応できる体制を作りましょう。
LTVを向上させるためのまとめ
LTVを向上させるための7つの手法
- 1. 平均の購入単価を上げる
- 2. 購入頻度を増やす
- 3. 継続利用の期間を延ばす
- 4. 新規顧客の獲得費用を下げる
- 5. 既存顧客の維持費用を下げる
- 6. 顧客とのコミュニケーションを増やす
- 7. 顧客サポートの強化
この7つの手法を実施して、LTVを向上させ、あなたのビジネスがよりハッピーになれるように改善していきましょう。